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ムーンという名のキタキツネ

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    きこりん

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    去年にたくさん遊んだキタキツネのTsukiが全く姿を見せない。 その代り、今シーズンに入って 左前足のつま先が無く、左後ろ足が動かないので 歩くのが大変そうなキタキツネが遊びに来るようになった。 このキタキツネはTsukiとは違い顔つきがとても優しい。 まだ、向き合って話をしたのは今夜で2度目なので コミュニケーションが取れておらず、写真を撮るところまでの関係が築けていない。 左の前足を見ているだけでも痛々しいのだが、人間を必要以上に恐れている気配はないので、直接人間から危害が加えられたものではないのだろうと考える。 なぜ私のところにキタキツネが寄ってくるかというと アライグマを捕獲するための箱罠があり、そこに捕獲用に餌を置いているからである。 しかし、アライグマよりも胴体や首が長いキタキツネは、箱罠のトリガーを踏むことなく、奥の方に置いてある餌をこともなさげに咥え取ってしまう。 仕方がないので、再び餌を仕掛けると、またまたキタキツネが持っていく。 そんなことを繰り返しているので、いつしか多めに餌を置くようになってしまった。 彼らに餌を与えることは本意ではないが、彼らが繁殖してその数を増やしてくれれば、おのずと外来種のアライグマは居場所を追われる。 キタキツネといえば「エキノコックス」と言われるが、元々北海道のキタキツネに寄生していたわけではなく、明治時代から昭和にかけて毛皮用にロシアから輸入していたギンギツネに寄生していたものがキタキツネにも蔓延してしまったものであり、キタキツネは被害者である。 昭和に入ってからは保健所などで駆虫剤を散布するなどして、エキノコックスはかなり駆除されたものの、ネズミが最終宿主であることから、ネズミを食用としているキタキツネからはいつまでたっても完全に駆除できない。 また、同じくネズミを捕食している野良猫やイタチ、テン、アライグマもまた宿主になっていると考えていいだろう。 更に、アライグマは「アライグマ線虫」や狂犬病もあることから非常に危険、かつ凶暴で、繁殖能力や適応力も高いことから、捕獲し駆除していかなければ、そう遠くない将来にはそこら辺じゅうがアライグマだらけになってしまうことだろう。 さて、今夜遊びにきたキタキツネは足が不自由なことから、ネズミを捕獲することなどもままならず、かなり食べるものに苦労を強いられているようで、この冬を乗り切れるかどうかも難しいだろう。 この足の不自由なキタキツネが男なのか女なのか今はまだわからないが、「ムーン」と名付けた。 そして、駆虫剤入りのパンを焼いて箱罠に入れておこうと思う。 春まで生き延びてくれれば、また冬が来るまでは何とかなるだろう・・・ どうせ家に帰っても寒くてひもじいだろうから、玄関にでも居ついてくれれば暖かくしてあげるし、食事もさせてあげられるのだが どう説得しても、ムーンもまたTsukiと同じように、裏山の斜面を雪に埋まりながら帰っていく。 キツネ族は遠い昔、オオカミ族から枝分かれし、独自進化を繰り返し今に至る。 キタキツネは、ヨーロッパアカギツネの亜種として大陸を移動し北海道に定着した種族で、ニホンキツネ族とはルートが少し違う。 オオカミ族からはイヌ族も輩出され、どちらも家族以外のものと群れるが キツネ族は家族とは群れても、家族以外とは群れることがない。 そのため人間に懐くこともないので、これまで犬や猫のような家畜にもならずに独自の文化を貫いている。 もっとも、ムーンのように手負いになってしまうと、家族以外と群れていたら、たちどころに餌にされてしまうことだろうが、家族を持たないキツネ族は単独行動となるので、たとえ手負いであっても、自力で食事ができる限りは生きていくことができる。 たとえ、私の手から直接食事を与えられたとしても、「自分で見つけて手に入れたのだ」と言い張ることだろう。 昔の日本人、頑固オヤジ、偏屈、意地っ張り、見栄っ張り、キツネを観察し続けていると、そんな言葉しか浮かばなくなってくる。 どうやら、この冬はムーンにかかりっきりになりそうだ。

    2020年02月09日22時44分

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