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きこりん

野生動物を撮影する際には、長期にわたることも少なくない。今はたまたま、Tsukiという名のキタキツネの方から訪問してくれているが、本来ならば野生動物から訪ねてきてくれることなど無く、時間をかけてこちらから少しずつ歩み寄っていく。始めは、彼らのテリトリーの外から撮影を開始し、こちらの存在を認識してもらう。相手によっては、これだけでも３日から１週間かかることも稀ではない。時間をかけて何とか彼らのテリトリーに入り込んでも、近くに寄せてもらうことは滅多になく、遠巻きに彼らの行動を観察することになる。そのうち、こちらの存在を意識しなくなるようになってくるのだが、そうなるともう、たがが外れたかのように、それまでとは全く違う行動や表情を見せる。あくびをしたり、でんぐり返しをしたり、笑ったりもする。こちらが寝転がって撮影していると、靴やズボンを甘噛みしてくるし、放っておくと顔の方まで来て噛もうとする。しんでいるか、それに近いほど弱っているなら食ってやろうという行動だ。群れで襲いかかってこられては困るので慌てて起き上がると、彼らは少し距離をおいて腰を降ろし、こちらを観察しにかかる。そのうち、どっちが観察しているのか、観察されているのか、わからなくなってくる。

2019年03月02日01時07分