yoshi.s
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「外交官を目指す?そりゃあすごい」。「でも、それなのにストリート・チルドレンを知らないのか?カンボジアだけでなく世界中にいるんだぜ。事情はそれぞれだけど」 「ええ、私、なんにも知らないの。勉強しなくっちゃ」。屈託なく凛子は言う。 「たまたま恵まれた環境にいる私が、自分のためだけの人生を送っていちゃ行けないっなて思うの。そうではない人たちのために何か手助けをしなくちゃ、と思うようになったのよ」 「へえ。それはまたどうして?」 「私ね、大学に入ってから、少林寺拳法部に入ったの」 *下につづく
*つづき 「ええっ。少林寺拳法って、あの闘うやつだろう?」 「ええ、まあ。でも少林寺拳法は、闘う技を習うのだけど、闘わないの」 「なんだい、そりゃ。闘う技を習って、闘わないって・・」 「習う技は、護身術。身を護るには打って付けの武術よ。上手になればすごくよく効くの。掛けるときはいいけど、掛けられるときはすごく痛い。突きや蹴りもあるから気を抜くと危ないの」。「一つひとつの技が護身術なの」。「でもね、そうやって身につけた技を使って相手をやっつけることが練習の目的じゃないの。それを使って演武をするのよ」。「二人向き合って、あらかじめ約束した手順で攻撃と防御を交代で行うの。それが演武よ。やる技の構成は決まっているけれど、ちょっと間違えるとただの怪我では済まないこともある。だからお互いに真剣よ。真剣だけれども、約束通りに行うには協調する気持が必要なの。だから闘いの技を行うのだけれども、闘いではないのよ」 「ふ~ん。闘いの技をするのにお互いに協力するのか。何だか矛盾したような話しだな」 「そう、そこが魅力なのよ。闘いの技だけど、闘いや争いではない。むしろ共同作業よ」。「でも、攻防の技に手を抜けば良い演武にはならないからお互いに真剣にならざるを得ない。でも二人の息が合わなければ、演武は失敗してしまう」。「真剣勝負の緊張感と、お互いの協力意識が同時に必要なの」。「この方法の良いところはね、相手を敵だとは思わないこと、いえ、思えないことね。協力し合っているんだもの。闘いの技を交わし合っているのに、敵同士ではなく、仲間同士なの」 「何だか不思議な技だな」 「そのことは技ではないのよ。これは稽古法であり、修行法なの」。「技そのものは、掛けられるととても痛い武術の技よ。でもその武技を使って強い弱いを決める闘いはやらないの」。「互いに教え合い、協力し合って学ぼうとするのよ」 「それ・・、いいなあ」。佳夫が感心したように言った。「協力し合って武術の技をやるのか」。「普通なら、相手を倒そうとするのが武術だろう?相手は敵のはずだ。それを互いに協力しながら学ぶことができるなんて素晴らしい」 「それはね、少林寺拳法の教えから来ているの」。凛子はさらに言う。 「教え?」 *つづく
2020年03月11日12時38分
HATTUさん アンディ・ラウ。香港の大スターです。 香港の俳優の多くは、多かれ少なかれブルース・リーの影響を受けているので、拳法をやります。いきおい、動きに無駄が無くなります。研がれた動きは美しいですね。
2020年03月11日18時15分
写楽旅人
上から差し込む光上手く取り入れ、とても美しい描写ですね! グレーっぽい背景により落ち着いた雰囲気が好きです^^
2020年03月11日12時35分