yoshi.s
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B
君はときどきぼくを驚かせる。 君が初めてぼくの家に来たのは、小学5年生が終わる春休みのときだった。 引っ越しの挨拶だと言って、お母さんといっしょに。 庭のこぶしが満開に咲いていた。 ぼくは、母の側(そば)に立って話を聞いていた。 君のお母さんが挨拶をしている間、ずっとうつむいていた君が、帰りがけに急に後ろを振り向き、ピースをして去った。あれはいったい・・。 *下につづく
白いシャツ 俊哉君はいつも真っ白のシャツを着ている。 襟がピシっとしていて、小気味よい。 きっとお母さんが毎日アイロンがけをしているのだろうな。 うちには母がいない。 父は出張の多い人で、ほとんど妹と二人暮らしの日々だ。 「お父さんのせいだよ、お母さんが出て行ったの。 出張ばかりするから。」 最初はそう責めたけど、実はお母さん、前からあの人と会っていたらしい。 父の物はクリーニングに出すけど、私たちのは私がアイロンがけをする。 ブラウスの襟が今一つ、ピシっとしない。 どうしてだろう。 俊哉君の白いシャツを見るたび、母が居たら、私のも綺麗にアイロンがけしてくれるのかなあ、と思ってしまう。
2018年04月24日01時10分
まぶしい白、健康な少年の白いシャツをイメージしました。 ところで掌編に☆white様をお誘いしました。 早速、二作品に掌編のタグをつけてくださいました。 「shall we ダンス?」と、「幾重にも幾重にも」です。 彼女の初々しい感性が気に入りました。他の作品も手を入れれば、掌編になるのがあります。 まだ無名(ファン登録が1人)ですが、これから活躍してほしいと思っています。 えっ、もうご覧になったのですか。文を直していたので、気が付きませんでした。
2018年04月24日01時14分
旅鈴さん なんだか読んでいて胸に澱のようなものが上がって来るストーリーです。 でも実際、こんな家庭は少なからずあるのでしょうね。 俊哉君とその妹に幸いあれ。 すぐ読みましたが、掌編小説作業中かも知れないと思ってコメントを後回しにしました。 ☆Whiteさんが『秋来たる』に来訪してくれました。掌編のことを読んでくれたのでしょう。 コメントを拝見しましたが、面白そうな人だな、と思いました。良い付き合いになるといいですね。
2018年04月25日10時49分
yoshi.s
*つづき 6年生になって新学期が始った。君とクラスは同じにならなかったが、登校班が同じなので月初めの一週間は、いつも一緒に登下校した。でも、ぼくは班長で先頭を歩き、君はいつも後ろだった。話す機会はほとんどなかった。 ときどき、いきなり、「もっとゆっくりー」って声がかかったっけ。 中学生になって、同じクラスになった。 セーラー服を来た君は急に大人っぽく見えた。 ちょっと胸がドキンとした。 でも素知らぬ顔で、「お、いっしょになったな」と、声をかけると君は、「うん」と、笑顔をくれた。またも胸がドキンとした。 でも男の子は男の子と、女の子は女の子と群れを作るのが中学生時代だ。知ってるだろう? 学校の行き帰りに、たまに一緒になった時ちょっと挨拶を交わす程度の付き合いだった。 *『佳人あり2』につづく
2018年04月23日16時35分