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日暮れ里山桜燃ゆ人知れず (17) 「そう。僕はほとんど家族のしがらみがない。だから将来は世界にでてみようと思っていた。それで外大に行った。爺ちゃんが、費用を出すから行けと言ってくれたんだ」。「ここでみんなに祝ってもらったね。あれから僕は東京で一人暮らしを始めた」。「ところが僕が2年の時、爺ちゃんが急に死んでしまった。心臓発作だった。誰もいない家で。たった一人で」。「僕は泣きながらお葬式を出した。爺ちゃんのくれた学費で」 だれもが身じろぎもしない。 桜の花びらが皆の車座に散った。 *下に続く
旅鈴さん お早いお越しですねえ。 どうぞご遠慮なく、ご推測をお話ししてみて下さい。 当たるも八卦、当たらぬも八卦。 もっとも、これは推理小説ではありませんがね。
2017年05月02日23時56分
それではお言葉に甘えて。ひょっとしたら吉夫君は海外青年協力隊の一員として、発展途上国にボランテイアで貢献していたのでは。教えるのが上手だったから、現地の子供たちに勉強を教えていたのでしょうか。時には茶の湯で日本文化を紹介したり。いかがでしょう。
2017年05月03日02時41分
また衝撃的な事が起こりました。 天涯孤独という暗闇の中から抜け出す時の思い、 「いのちは預かりもの」に深く心を動かされています。 桜の花びらにちょっと光が当たっていて 吉夫さんの心を表しているのではと思っています。
2017年05月03日07時06分
michyさん そう考えた時に、彼の心に光が差し込んだようです。 個人としての自分からすれば、いのちは預かりもの。 いのちという観点でみれば、自分も大きないのちの一部だということが分かったようです。 写真は、まったく同じ構図で、全体に明るいものもあったのですが、michyさんのおっしゃるような意図でこちらを選びました。michyさん、正解です。
2017年05月03日16時13分
こういう展開は想像できませんでした(^_^;) 海外で、もうひとつ大きな何かを掴んでくるのかと思いましたが、吉夫君は自分で導き出したのでしょうか。 山桜に日があたるように、仲間が見守ってくれているようですね・・・・。
2017年05月03日18時01分
annshii46さん 吉夫がこのような考えを持つようになったのは、みんなと一体であったあの時代の体験が影響しているのでしょう。 仲間が見守ってくれているよう・・。嬉しいコメントです。
2017年05月04日22時20分
yoshi.s
*つづき 「いや、こんな話をするつもりじゃなかったんだ。もういいだろう」 「何を言ってるんだ。いまの話で、おれはお前のことをよく知らなかったということが分かった」真一が言った。 「そう言えばあの頃、お前は自分のことをあまり言わなかったよな。あんなにみんなでいろんなことを話しあったのに」 「そうだよ、吉夫、僕たちは君のこと、ほとんど何も知らない」 「吉夫君は私にとって、いまだに謎めいた人よ」 「おっ、そりゃあ何だ?告白か?」真一がまぜっ返した。 「続けてよ、吉夫君。もっと話して」 「そうか、分かった」 「爺ちゃんが死んで僕は天涯孤独になった。暫くの間、僕は暗闇の中に住んでいるようだった」 「ところがそのうちに僕の中で何かが変わってきた」。「両親も爺ちゃんも、大きないのちの中に還って行っただけだって思えるようになってきた」。「自分のいのちは自分のものじゃない。だれかから預かっているだけだ。両親も爺ちゃんもそれをただ元に返しただけなんだってね」。「そう思うと何とか自分を保つことができた。明かりが少し見えて来た感じがした」 「そこからさらに考えた。僕自身だって預かったいのちだ。せっかく預かったんだから、大事に使わなきゃならない。どう使おうかって」。「預かりものだから、貸してくれた人、まあ、人か神様かは分からないけど、とにかく貸してくれた『いのちの大本』のためにもなるように使わなければならないんじゃないか。自分のためだけに使っちゃだめなんだって」 僕はまた、深い呼吸をした。 *次の桜につづく
2017年05月02日22時36分