熊野の荒々しさとは、雨と風の荒々しさと同義です。 そのレジスタントたる植物達は争うように絡み合い反撃の手を止めません。あたかも人はその狭間を切り開き、辛うじて住処を得ているような印象さえあります。 風がもたらす荒れる海、雨がもたらす氾濫する川、大きな脅威より大きな恵みを受けるアイロニー。 そのような闘争と融和の非常にアンビバレントな総体がこの地の宿命なんです。 もしも自然信仰が今も生きているならば、まさに生ける神話の地といえるでしょう。

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