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花の下若者たちの弾む声 *今はもう彼らの声も聞かれません。いずれまた。 *つづき 「ところで、写真のほうはどう? 順調に行ってる?」。「ずっと撮ってばかりだったから、お互いに見せっこしようか?」。佳夫が提案した。 「うん。毎日整理してたんだ」と、凛子が応じた。 「ぼくもさ。後にすると、膨大な量になって、セレクトする気が無くなってしまう。なるべくその日のうちにやるようにしているよ」 二人はそれぞれiPadを取り出して、自分の撮った写真を互いに見せ合い、感想を述べ合った。 *下につづく
こんなに大きなコブシの木は見たことがありません。 満開のコブシの木の下でサッカーゲームに興じる若者、いや年配者も少しいるのかな? 世のコロナ騒ぎとは無縁とばかりの溌剌とした姿、高齢者は元気を貰います^^
2020年03月29日15時06分
写楽旅人さん 満開のいま、とても見応えがあります。 このサッカークラブは、老若男女、だれでもOKのようで、地域活動のひとつのあり方だと思っています。
2020年03月29日18時31分
ジョニー森永さん このサッカークラブ、この花の下では、たしかこれが最後だったんじゃなかったかな。 以後自粛に入ったようです。 そして花はもう終わり始めました。
2020年03月30日23時17分
yoshi.s
*つづき 「さてどうだった?被写体と交流ができたかい?」。佳夫が聞いた。 「交流とまでは行かないけど、どこを撮って欲しいのって、花に話しかける気持でファインダーを覗くと、撮って欲しいところが分かるようになって来た・・、ような気がする」 「ほう・・」 「佳夫くんはどう?」 「ぼくはまだまだだなあ。まだ自分が撮ろうとしている感じが強くて、花が教えてくれるようには、ならないなあ」。「つい自分が先に出てしまう。君のように、花の声を聴こうとしなけりゃいけないな」 「佳夫くんはいろいろ技術があるからよ。私なんか、ぜんぶオートよ。だからお花との交流に集中することができるんだと思う」 「そうだとすれば、ぼくはまだ技術に囚われていて、写真が自由に撮れないということだな。技が身に付いていないということだ」。「いっそオートで撮ればいいんだが、露出でもピントでも、目で見ながら微妙な調節をしたいんだよなあ。ぼくにとってはそれが写真撮影の楽しみのひとつなんだ」。「しかし、被写体と交流することができるようになるには、気を使わずにカメラを操作できるようにならなくちゃな。早く技を体得することだな。新たな目標を見つけたぞ」 「自動車の運転だって、いまだにマニュアル車に乗っている人がいるものね」。凛子が言う。 「そうそう、ぼくの親父がそれだ。親父は今でも、座席と座席の間にシフトレバーが長く突き出した昔のジープに乗っている」 「あ、私それ、高校生のころに見たことある。学校の何かの行事の時に、佳夫くんのお父さん、そのジープで来たことがあるわ」。「男の子たち、カッコいいー、なんて言ってた」 「ぼくはちょっと恥ずかしかったんだ」。「親父は今でもあれに乗っているんだよ」。「ジープは、乗り心地最悪。気分は最高。なんてよく言ってた」。「ああ、そうか、ぼくはその血を引いたのか」。佳夫が笑って言った。 「なんでもかんでも機械まかせにしてしまうと、せっかくの楽しみを失ってしまうこともあるわよね。便利さよりも、面倒自体を楽しむことの方がいいこともあるわ。多少手間がかかっても・・」。「私もやってみようかしら、マニュアル」と、凛子が言った。 「おお、いいねえ。面白いよ」 「佳夫くん、教えてくれる?」 「いいとも」 こうして二人の写真談議は、毎日に及んだ。 *つづく
2020年03月29日14時26分