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*つづき 翌日、佳夫と凛子は梅林の近くの小さな公園で落ち合った。 「さすが佳夫くん、よく知っているわね」。「こんな小さな公園なのにあちこちに野の花が咲いている」 「ぼくだって最初は気にも止めていなかったんだ。でもカメラを持って歩くようになったら、いろいろなものに目が止まるようになった」。「で、ここは野の花に事欠かないということが分かった。もっとも、春休みに帰省したのは今回が初めてだけれどもね」。「で、はまってね、ここのところ毎朝夕ここさ」 *下につづく
番外編が続いていたので、探しちゃいました。ここでしたね。 写真を撮っていると何やら呟いている自分がいます。 被写体と対等な関係が生まれてくるんです(´▽`*)
2020年03月27日17時24分
想空さん つぶやいていますか。 凛子と同じですね。 被写体と対等な関係? それはスピリットの言うアートの条件をクリアしていることになりますねえ。佳夫にはまだの境地です。
2020年03月28日09時49分
yoshi.s
*つづき 「じゃあ、早速撮ろっか。洞察の目で・・」。凛子が言った。「でも、その洞察の目がどんな目なのかが分からない・・」と、続けた。 ああ、それはぼくだって・・」。佳夫が言う。「ただスピリットがヒントをくれていたんだ」 「えっ、それ教えて!」 「スピリットはこう言っていた」。「撮影者であるぼくたちの中の何かと、対象物の中の何かが触れ合って生まれるのがアートだ、って」 「うーん。それって被写体との対話のことかな」。「人物撮影なら、よくやることよね。心が通い合ってこそいいポートレイトが撮れるもの。その人らしさが現れて来るとやったーって思うわ」。「でもそれが花や木ということになると、なかなか大変ね。でも分からないことはないわ」。「佳夫くん、それ大きなヒントね。やってみるわ」 「ああ、ぼくも心がける」 こうして二人は、公園の野花を物色し、気に入った花を見つけると、そこでその花と対話を始めることになった。 ことばによらない対話。時々ぶつぶつ何かをつぶやく対話。ひとつの花にたっぷりと時間をかける撮影にならざるを得ない。でも、二人は楽しかった。この新しい写真撮影のやり方を、どうやら二人は気に入ったようだ。 二人は、朝の撮影を終えると分かれ、夕方になるとまた集った。それが次の日も、そしてまた次の日も続いた。 *つづく
2020年03月23日19時16分