ホーム きこりん 写真一覧 不屈 6 きこりん ファン登録 ユーザートップ 写真一覧 ギャラリー お気に入り ファン ファンになっているユーザーの写真 ファンになっている ファンになってくれている 不屈 6 お気に入り登録116 2222件 D E 2019年03月06日01時38分 J B
コメント2件 きこりん 少し時間が経って、メイプル・ファミリーのテリトリーにようやくいつもの静寂と落ち着きが戻ってきた。 とはいえ、肌がピリつくような緊張感が僅かに漂っているのは、それまでの陽射しが翳ったためだけではないだろう。 ロックもようやく気を抜いて、もはや感覚も無くなりかけているであろう右後ろ脚の、肉球の隙間に張り付いて固まった氷を、舐めたり噛んだりして剥がしている。 もう既に、血の気も引いて冷たくなった足を舐め続けて温める。 近くにはファミリーもいるが、彼らは、人間のように「傷の舐め合い」などしない。 万が一、命を落とすようなことになったとしても、それは天命であって、悲しむことなど無い。 いや、悲しい気持ちはあっても、そこで立ち止まって悲しんでいる間に、自らの命をも失いかねないので、いつまでも悲しんだりはしないだけなのだろう。 メイプル・ファミリーは、ロックがどこで怪我をしたのかを知っているようで、この日以来、ほんの少しだけ警戒心が強くなったように見える。 ロックはいつまでも愛おしそうに傷ついた自分の脚を舐め続けている。 ファミリーの中で誰よりも勇敢で、好奇心が強いロックは、確実に、ファミリーの次のリーダーとなり得る存在だ。 おそらく、ロック自身もそのことを悟っているからこそ、一刻も早く傷を癒す必要があるのだろう。 時折周囲に気を配りながらも、一心不乱に自分の脚を舐め続ける。 氷のように冷たくなった肉球に暖かい血が流れてくるまで、痺れが取れて地面を蹴って走れるようになるまで、いつまでも丹念に舐め続ける。 誰に教えられたわけでもなく、何のためなのかも分からぬままに、「生きる」ということを意識もせずに、命ある限り生き続けるために、生きる。 そのためには決して諦めることもなく、不屈に生きる。 思わず「頑張れ!」という言葉が心に満ちた。 2019年03月07日10時34分 MGKⅡ こんにちは。 自然界の厳しさが伝わってきます。 早く怪我が完治します様に祈っております。 極寒での撮影、お体ご自愛くださいませ。 2019年03月06日09時24分 新規登録・ログインしてコメントを書き込む コメントを書き込む 同じタグが設定されたきこりんさんの作品 最近お気に入り登録したユーザー チ ャ ビ ィ ファン登録 atsushi ファン登録 はいふろく ファン登録 Slows ファン登録 aomimi ファン登録 t-okamoto ファン登録 Suzutaro208 ファン登録 まねきねこ ファン登録
きこりん
少し時間が経って、メイプル・ファミリーのテリトリーにようやくいつもの静寂と落ち着きが戻ってきた。 とはいえ、肌がピリつくような緊張感が僅かに漂っているのは、それまでの陽射しが翳ったためだけではないだろう。 ロックもようやく気を抜いて、もはや感覚も無くなりかけているであろう右後ろ脚の、肉球の隙間に張り付いて固まった氷を、舐めたり噛んだりして剥がしている。 もう既に、血の気も引いて冷たくなった足を舐め続けて温める。 近くにはファミリーもいるが、彼らは、人間のように「傷の舐め合い」などしない。 万が一、命を落とすようなことになったとしても、それは天命であって、悲しむことなど無い。 いや、悲しい気持ちはあっても、そこで立ち止まって悲しんでいる間に、自らの命をも失いかねないので、いつまでも悲しんだりはしないだけなのだろう。 メイプル・ファミリーは、ロックがどこで怪我をしたのかを知っているようで、この日以来、ほんの少しだけ警戒心が強くなったように見える。 ロックはいつまでも愛おしそうに傷ついた自分の脚を舐め続けている。 ファミリーの中で誰よりも勇敢で、好奇心が強いロックは、確実に、ファミリーの次のリーダーとなり得る存在だ。 おそらく、ロック自身もそのことを悟っているからこそ、一刻も早く傷を癒す必要があるのだろう。 時折周囲に気を配りながらも、一心不乱に自分の脚を舐め続ける。 氷のように冷たくなった肉球に暖かい血が流れてくるまで、痺れが取れて地面を蹴って走れるようになるまで、いつまでも丹念に舐め続ける。 誰に教えられたわけでもなく、何のためなのかも分からぬままに、「生きる」ということを意識もせずに、命ある限り生き続けるために、生きる。 そのためには決して諦めることもなく、不屈に生きる。 思わず「頑張れ!」という言葉が心に満ちた。
2019年03月07日10時34分