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きこりん

ある日、キタキツネ「メイプル」ファミリーのテリトリーに平ボディーの青いトラックがやってきた。労務者風の男が二人、トラックから降りてくると同時に、メイプルファミリーに緊張が走り、キツネたちはみんなてんでんばらばらに雪原へと消えて行った。何が起こったのか状況が呑み込めずにいると、長男のロックが遅れて雪山を登り始め、怯えたまなざしで振り返った。その視線の先には労務者風の男の一人がおり、立ち小便をしながら、ロックに雪玉を投げつけようとする仕草をしていた。男は用を済ますと、威嚇しながらロックに走り寄る素振りをしたが、ロックが逃げるには十分なほどの距離があったため、ロックはその場を動かず男の行動を凝視していた。普段見ることのないロックの表情を撮影している中、ロックのその動きに違和感があった。右の後ろ足を宙に浮かすようにし、つま先立ちしている。拡大してみると、踵のあたりに僅かな傷があり、足先の体温が低下しているのか肉球の間には大量の小さな雪玉が氷となってこびりついている。どうにもしてあげられないもどかしさがこみあげてくる。つづく

2019年03月05日22時29分

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