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チョコレートはないけれど

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    きこりん

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    2月14日だと知ってか知らずか、13日の午後6時過ぎから何度も訪問してくるキタキツネの女の子「Tsuki」。 結局、14日の深夜3時過ぎまでの間に5回もやってきた。 13日の間は午後6時過ぎ、午後9時過ぎ、午後11時過ぎと3回、14日になってからは午前1時過ぎ、午前3時過ぎと2回。 13日のうちは3回とも、リビング外に2mほどもうず高く積った雪山から、その裾に置いてある箱罠の上のトタンに飛び降りて音を立て来訪を知らせてくるので、その度に玄関灯をつけてからゆっくりと防寒着に着替えて外へ出る。 急ぐことも無く玄関ドアを開けてみると、Tsukiはいつものように玄関前の雪の上にちょこんと座って待っている。 相変わらずちまちまと雪は降り続け、雪降ろしした屋根の上には再び1m以上も雪が積もり、室内のふすまが雪の荷重で開かなくなったので、そろそろまた降ろそうかと思案しているが、気持ちが萎えて今日も気力が出ない。 例年なら、もうそろそろ春の雪に変わりつつあり、その頃合いを見計らって雪降ろししたつもりだったが、今年はまだまだ気が抜けなさそうだ。 屋根の雪降ろしをした日から数日は、下ろした雪が山となって屋根の軒先とつながってしまったことから、Tsukiがその雪山を伝って屋根に上がり、飛び跳ねて遊ぶ音が聞こえていた。 しかしそれも僅か2~3日のことで、すぐに雪は山のように屋根に降り積もり、Tsukiがどれほど激しく飛び跳ねようとも、今ではもうその音すら聞こえないほどの深さとなっている。 きっと、Tsukiですら飛び跳ねることもできないほどの深さになっているので、雪降ろしをするまではTsukiも屋根には上がらないだろう。 「なんだ、珍しいなぁ・・・何かあったの?」と、3度も訪問してきたTsukiに訪ねてみても、小首をかしげるだけで何も答えず、いつまでも玄関フードから外に出ない私にしびれを切らしたのか、恐る恐る足元に近づいてきて「早く遊ぼうよ!」とばかりに長靴の先っぽを甘噛みしてきた。 どうしてこの子は、これほどまでに私に懐いているのかはわからない。 ただ、初めの頃は、アライグマを捕獲するために仕掛けた箱罠の中に置いた餌を狙って来たのは間違いなく、Tsukiが来た時には必ずアライグマ捕獲用の餌が無くなっていた。 しかし、雪が積もり始めたのをきっかけに餌を置かずにいたのだが、それでも、アライグマではなくエゾタヌキが箱罠に入ってしまったり、TsukiやTsuki以外のキタキツネも入ってしまったりしていた。

    2019年02月14日13時36分

    きこりん

    きこりん

    夜になると家の縁伝いにアライグマや野良猫が徘徊するのを確認していたので、この家の周囲はきっと動物たちの通路ともなっているのだろう。 エゾタヌキやTsuki以外のキタキツネが箱罠にかかって以降、私が知る限りTsuki以外訪れる動物はいないと思うが、箱罠には餌は置いていないし、Tsukiが来ても、僅かな時間追いかけっこして遊んだり、写真を撮ったりするばかりで、餌を与えることもしていない。 とはいえ、以前の記事にあるように、不意にTsukiが、私が履いている軍手を欲しがったことから何度か使い古してボロボロになったものを渡したりしていた。 しかし過日に、いつものようにTsukiと遊び、帰り際に軍手を渡すと咥え取ったものの、すぐに足元に落とし「もういいの」と言いたげに踵を返した。 それを機に、もう軍手をわたすこともやめたので、私のところに来たところでTsukiにはもう何のメリットもないことになる。 なのに、それでも毎夜のように立ち寄り、私が外に出てくるのを健気に待っているTsukiに、無償の愛情を感じ始めている私がいる。 そんな昨夜、3度目のかけっこを終え別れたはずのTsukiが、午前1時過ぎにトタンの上に飛び乗る音が聞こえた。 「今出て行ったら、今後また深夜の訪問が増えるかもしれない」私はそう考え、心を鬼にして応答せずに放置しておくと、リビングの外壁を撫でる音が聞こえ、私は思わず笑った。 それでも放置しておくと5分ほどでTsukiの気配が外から消えた。 凍結防止のため日課となっている室内の水道の元栓を閉めて水を落とし、火の始末、電気の確認を済ませて床に就いた。 ようやくうとうととし始めた頃、トタンの鳴る音がした。 時計を見ると午前3時を過ぎていた。 またTsukiが来ていた。 今までは、Tsukiに呼ばれうように、時間に関係なく防寒着を着こみ外に出ていたが、もうそろそろTsukiにも時間の観念を持ってもらおうと、再び心を鬼にして、布団の中で丸まっていた。 窓の外ではTsukiが、ギシギシわさわさと、外気温が低いことがわかる雪の音を立て動き回る気配がいつまでもしていた。 そのうち、また家の外壁を撫でる音がし、窓ガラスに触れる音もしたが、それでも出て行かずにいた。 「あ!箱罠閉めてない!」ふと、箱罠の入り口を閉めていないことを思い出し、今までのようにTsukiが私を呼ぶために自ら箱罠に入り入口の戸を閉めてしまうかもしれないと思ったが、もうその頃には激しい睡魔に襲われ、身近にTsukiの気配を感じながら深い眠りに落ちてしまった。 今朝、箱罠を確認するために起きてすぐに外に出てみたが、そこには空っぽのままの箱罠が所在なさげに口を開けたまま転がっていた。 テレビをつけてみて初めて、今日がバレンタインデーだと気付いた。 防寒着を着込み、もう一度外に出て、昨夜のTsukiの行動跡をたどってみた。 どこにもチョコレートはなかったが、チョコレートの代わりにTsuki自らが来てくれていたのかもしれない。 ひょっとすると、大きなリボンを身に着けていたのかもしれないなぁ・・・

    2019年02月14日13時37分

    sika3

    sika3

    白黒 新鮮です

    2019年02月14日15時15分

    イルピノ

    イルピノ

    Tsukiちゃん、立派なリボンつけていたのでしょうね。 とても微笑ましいです。(^^)/

    2019年02月14日15時50分

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