ホーム きこりん 写真一覧 その泉、碧く湧き立ちて きこりん ファン登録 ユーザートップ 写真一覧 ギャラリー お気に入り ファン ファンになっているユーザーの写真 ファンになっている ファンになってくれている その泉、碧く湧き立ちて お気に入り登録156 3731件 D E 2018年05月25日10時08分 J B
北海道三笠市 月光池 コメント1件 きこりん 微かに、梢が震えた。 水面が泡立ち、揺らぎ始める。 つい一息前まで、逆さ絵のように描かれていた水没林の陰影は、一瞬のうちに、碧くざわめく水底に呑み込まれた。 一年に何度か・・・いや、数年に何度もあることではないだろう。 森の奥に、繁殖期を迎えたエゾシカの咆哮が轟く。 まだ青年期と思われるヒグマの痕跡が、足元の泥濘の、そこここに標されている。 背後には、樹木の無い小高い丘が迫り、キタキツネたちがその頂から、こちらの気配を窺ってる。 普段なら、群れを成して優雅に水面を流れる水鳥たちが一羽もいない。 身に迫る獣たちの脅威をも忘れ、湖畔を移動しながら撮影に挑み続ける。 一時間も経っただろうか・・・不意に、森を揺するほどの強風が吹き過ぎ、 新緑がざわめいた。 その風もほんの一瞬で止まり、水面はいつもの、深い黒へ戻ると、再び、逆さ絵を描き始めた。 クマゲラの声が、森の奥に聞こえた。 不意に、硫黄のにおいが鼻をかすめた。 2018年05月30日10時20分 新規登録・ログインしてコメントを書き込む コメントを書き込む 最近お気に入り登録したユーザー 11月の風 ファン登録 te tzui ファン登録 めたるっく ファン登録 まねきねこ ファン登録 ジムのポッケ ファン登録 月影 ファン登録 JR500 ファン登録 mno ファン登録
きこりん
微かに、梢が震えた。 水面が泡立ち、揺らぎ始める。 つい一息前まで、逆さ絵のように描かれていた水没林の陰影は、一瞬のうちに、碧くざわめく水底に呑み込まれた。 一年に何度か・・・いや、数年に何度もあることではないだろう。 森の奥に、繁殖期を迎えたエゾシカの咆哮が轟く。 まだ青年期と思われるヒグマの痕跡が、足元の泥濘の、そこここに標されている。 背後には、樹木の無い小高い丘が迫り、キタキツネたちがその頂から、こちらの気配を窺ってる。 普段なら、群れを成して優雅に水面を流れる水鳥たちが一羽もいない。 身に迫る獣たちの脅威をも忘れ、湖畔を移動しながら撮影に挑み続ける。 一時間も経っただろうか・・・不意に、森を揺するほどの強風が吹き過ぎ、 新緑がざわめいた。 その風もほんの一瞬で止まり、水面はいつもの、深い黒へ戻ると、再び、逆さ絵を描き始めた。 クマゲラの声が、森の奥に聞こえた。 不意に、硫黄のにおいが鼻をかすめた。
2018年05月30日10時20分