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しかし蓮はなくとも、木々の緑や若葉に彩なされた庭は新鮮な息吹に満ち、呼吸を深くさせた。 阿弥陀堂を含めた庭園全体が阿武隈山の懐(ふところ)にあり、母なる山が愛し子を抱えているかのようだ。 池にその姿を映した新緑は、そこに別の世界を見せるがごとく幻想的である。 なるほど,この水面が極楽浄土の入口なのかもしれない。 じっと眺めていると、そのままその世界に引き込まれそうな気がする。 友人がいなければ、私は極楽浄土に足を踏み入れたのだろうか。 いや、まてよ。 実際に私は、あの時、浄土にいた。 *5につづく