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写真エッセイ:花貫紅葉4:山の彩

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    B

    ⑷ やっと蕎麦打ち販売所に着いた。 順番待ちの客が行列で並んでいる。 どうかな。まだあるかな。 去年は前二人のところで売り切れになってほぞをかんだ。 売り場に訪ねてみよう。 「どう。おばさん、まだある?」 「まだあるよ。はい9番」 札を渡された。 9番?どう見ても10人以上は待っている。 そこに売り場から声がかかった。「96番の方〜」 そうか、番号は100番までで、また1番から始るのか。するとあと13人。大したことはないな。 *下につづく

    コメント3件

    yoshi.s

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    *つづき テーブルは、食べている客で満席。 近くの石に腰を掛け、そば打ちの仮設テントを眺める。 齢のいった男女15~6人ほどが忙しく働いている。 このそば屋は、アマチュア集団だ。 地元のそば打ち同好会の面々が、このような催し物がある時に市の要請を受けて蕎麦を打ち、売る。 粉はすべて地元産。機械は使わず、すべて手打ち。量はかなりある。1杯500円。 お得感だけで腹が膨れそうだ。 順番はまたたく間に来た。 「温かいの?冷たいの?」 もちろん、「冷たいの1枚!」 蕎麦は、どうあってもざるだ。 「おまち!」 早い! 石席に戻って、ざる蕎麦の盆を膝に乗せ、合掌、感謝、「頂きまーす」。ごくり。 落語の時そばよろしく蕎麦にちょっとだけつゆを付け、すすうっと頬張る。 新蕎麦の香りが鼻に抜ける。舌の上に甘みが広がる。 美味い! これはうまい。 すすうっ、すすうっ。あっという間に一枚を終える。 そうこうしている間に、「35番さーん」の声。 じつは1枚目をもらった時に、2枚目を頼んでおいたのだ。 2枚目を啜る。 相変わらず、うまい。 が、最初の一口の感激はだいぶ薄れた。これは仕方がない。 食べ終わった頃に、「どうも。いらっしゃい」。そば打ちの責任者が声をかけてくれた。 顔なじみだ。 「今年のできはいいねえ」。「うん。甘みがある」。「香りもいい」 などとひとしきり話しをして、腰を上げた。満腹だ。 もういい。これで引き上げることにしよう。 *⑸ につづく

    2017年12月02日00時23分

    michy

    michy

    花貫渓谷はこんなに美しい山間にあるのですね。 川幅が広そうなので下流と思いますが、 ご愛用のバイクでの小旅行と言えそうです。 更にお蕎麦をいただくまでのこと、やっと間に合って 2杯も頂けたお話に引き込まれました。 わたしも食べたい~~~

    2017年12月02日09時14分

    yoshi.s

    yoshi.s

    michyさん いつも花貫の画に興味を持って下さって、ありがとうございます。 実はここはダム湖なのです。流れが山間の渓谷から広い場所に出て来たところをせき止めて、氾濫防止と飲用貯水のために造られたものです。周りが山林なものですからまるで自然の湖のようです。 そばは、地元のそば打ち愛好会のいわば作品ですから、純粋を突き詰めた品で、それはそれは美味しい蕎麦です。何と言ってもこの時期は新蕎麦。とくに今年は香り、味ともに申し分なし。 michyさんにお届けしたい〜。でも、だめなのです。打ったところで食べることが条件なのです。 ごめんなさい〜。

    2017年12月02日18時17分

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