yoshi.s
ファン登録
J
B
「おい、さくらんぼがいっぱい生ってるの知ってるか?」 「知らない。どこだ?」 「まあ、この近くだよ」 「なんだよ。教えないのか?」 「教えないわけじゃない」 「それなら教えろよ」 「人にものを教わるのにそんな聞き方があるか」 「だって友だちだろう?」 「親しき中にも礼儀ありって言うだろう? 知らないのか?」 「いや知ってる。分かったよ。じゃあ教えてよ」 「じゃあって何だ。でもまあいいか。ついて来いよ」 「さあ、行こう」 「あのなあ、おれが連れて行くんだぞ」 「分かった、分かった。早く行けよ」 *下に続く
なんとなく食べられそうな桜の実です。でもすっぱくて駄目なんですね。 なかよし3人組の男の子たちが試してくれました。 「サクランボ」でずっと昔の事を思い出してしまいました。聞いていただけますか。 小学校に入ると戦争が始まり4、5年生になると空襲が始まり房総半島上空を 米軍のB29の爆撃機が東京に向って飛んでいきました。 「警戒警報」のサイレンがなると家に帰されます。 戦争の厳しさよりも早く家に帰れるのを喜んでいた幼さでした。 わが家の庭に食べられるサクランボの大きな木が一本ありました。 友だち4~5人で木に登りサクランボを食べながら米軍機が東京方面へ 飛び去るのを眺めていた情景が浮かび、爆撃機の爆音は今でも耳に残っています。 戦争と同時にその後の苦しい生活も思い出されます。 恐ろしい時代でした。再びあの時代に逆戻りだけはしないように願っています。
2017年06月20日22時28分
michyさん 貴重な体験談をお聞かせ頂きました。 そのB29が東京を火の海にしたのですね。 平和の象徴のようなさくらんぼ。そのさくらんぼを食べながら爆撃機を見ていた。 何かやりきれない気持ちですね。 おっしゃる通りです。戦争だけはいけません。助長するような行動もいけません。 あの国が軍事力を増強したから、こちらも戦闘機を買う。この国がミサイル実験をしたから迎撃ミサイルを準備する。いつまでそんなことをやっているのか。外交は?経済援助は?技術援助は?人的交流は?交換留学制度は?文化交流は?国連の民主化は?やることはいっぱいあるはずです。やっている?不十分です。
2017年06月20日23時51分
michy様の体験されたことは、いつまでも忘れられないことでしょう。 でも残念ながら そうした体験を 後世の人たちに伝える場がないのではないでしょうか。 原爆体験者の方にしても、沖縄の方にしても、思う存分、伝えられないもどかしさを 感じておられるのではないかと思います。風化させてはいけない、忘れてはいけない、 そういう大事なことがたくさんあると思います。戦争を知らない世代が政治を担っている時代、謙虚に過去の過ちを繰り返さないよう、心して欲しいものです。 このサクランボは小鳥用です。
2017年06月21日03時18分
旅鈴さん このさくらんぼは食べられない。 彼らは身を以てそのことを知ったのです。そこが大事なのです。 体験こそが最高の教師です。 しかし、戦争だけは体験教師にしたくないものです。 体験者はそれを語り、非体験者は想像力を高めなければならない所以です。
2017年06月21日23時34分
コンピューターのゲームの宣伝で、戦争ごっこみたいなのや、格闘技の過激なのを見ますが、 こんなのに慣れていたら、人命の尊さなんて、軽く思うようになりますよね。リセットで、もう一回やれるんですから。 さくらんぼが食べられない、ということを納得するまでの過程がおもしろいですね。 赤いのはだめ、紫色の、とか、これ ぷにゅぷにゅしてる、とか、最後のおち、 百聞はひとかじりに如かず、笑ってしまいました。いつも楽しいお話をありがとうございます。
2017年06月22日02時19分
このサクランボは食べられないのですね。 百聞はひとかじりに…ふむふむと読ませていただきました^^ 以前書き込みさせていただいた際、「新作を・・」とお返事いただきました。 拙い写真ですが一枚投稿してみましたので、見ていただけると幸いです☆
2017年06月25日06時05分
旅鈴さん 再度のご訪問ありがとうございます。 子供のころ、目白や雀、かぶと虫や鍬形虫をよく飼いました。すべて自分で捕ったものです。 しかしほとんどの場合。餌を与えても食べずに死んでしまいます。その度に心が虚ろになり、やがて生き物を飼わなくなりました。犬や猫は飼っていますが、死ぬのを見るのは辛いです。 ですから、元気でいる内に可愛がってやろうと思います。 家族も、友だちも、周りの人たちも同じです。
2017年06月25日19時14分
yoshi.s
*つづき 「おーい、お前たち、どこに行くんだ?」 「それは教えられな・・」「さくらんぼ採りだよ」「なんだよ、言うなよ」「けちするなよ。みんなで行こう」 「ありがとう」 「なんだよ。おれが連れて行くのにさ」 「つべこべ言うな。みんな友だちだろう? それで? どっちだ?」 「ああ、こっちだよ。・・あれ、なんかおかしいなあ」 「おかしなことなんかないよ。早く行こう」 「ああ、これか?」 「うん」 「この公園の桜か。なんだ」 「なんだって何だよ。知らなかったくせに」 「いや、知ってたけど気にしてなかっただけだ」 「おお、すごいな。こんなに落ちてる」 「なってもいるぞ」 「ほんとだ。食べられるのか?」 「食べられるさ。さくらんぼだもの」 「でも母さんが買って来るのとはちょっと違うぞ。これはだいぶ小さい」 「そりゃ小さくても仕方がないさ。ただだもの。採り放題だぞ」 「そりゃそうだ。でもほんとうに食べられるのか?」 「当たり前だ。さくらんぼだもの。・・と、思う」 「なんだお前、食べたことないのか?」 「そりゃあないさ。だからお前たちを誘ったんだ」 「あんまり誘われた感じはしなかったがな。まあ、ものはためしだ。食べてみよう」 「うわっ、しぶい!」。ぺっ、ぺっ。 「そんな固いのをかじったら渋いに決まってるだろう。もっと熟したやつだよ。赤いのはまだだめだ。食べられるのは紫色になったやつだよ。押すと柔らかいだろう? そいつだよ」 「食べたこともないのになんで分かるんだよ」 「論理的思考ってやつだな。この前先生に教わっただろう」 「べー。紫もだめだ」 「なんだお前の口、紫色だぞ、気持ち悪い」 「お前だって血だらけのような口だ」 「分かった。生ってるのはだめだ。熟して落ちてるのがいいはずだ」 「これだ、これだ。ぷにゅぷにゅしてる」 「どれ、ん、やっぱり渋いが、少し甘みがある。これなら食べられないこともないな」 「どれ。・・べー。だめだ、だめだ」 「まあ、人には好みってものがあるからな」 「なにが好みだ。ベロがしびれて来たぞ。水飲み場で口をゆすいで来る」 「おれも」 「おれもだ」 「いやあ、ひどい目にあったな」 「おれが悪かったんだ、お前たちを誘ったからだ」 「そんなことはないよ。あのさくらんぼは食べられないってことが分かった」 「そうだよ。百聞はひとかじりに如かずだ」 「うまいこと言うなあ。そのとおりだ」 3人は肩を組んで帰って行きました。 *おわり
2017年06月20日16時17分