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私は知らないことが多過ぎる。幼い頃、ちょうちょ結びができなかった。 ひらがなも苦手だった。炭酸を飲む前に、げっぷが出た。 七分袖を一度も着たことがない。 なだらかな山脈に、雲霧が打ち寄せた。 山で誰かとすれ違えば、「こんにちは」と交し合う。 けれど、声を発するのも億劫なときがある。そんなときは、どうすればよいのか―。 歩きながら、宮部みゆきの分厚い長編を読んでるふりすればいい。 ここは図書館だ、という顔をして。