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画像処理の前半、ある意味本来の強調作業に入る前の元画像を作るまでの段階は本来被写体として写っているべきではないノイズ、センサー由来のものも光学系由来の色収差等も光害などによるカブリも全てをノイズと考えて、それを出来うる限り取り除き低減させる作業で、いわば前処理といえるものですが、これはダーク減算、フラット補正、加算平均コンポジット、カブリ補正、というようにやれることが決まっており、分かってしまえばルーティンの作業で迷う部分はありません。 まあカブリ補正だけはある程度カラーバランスを合わせてからやりますし、強調作業してみるまで分からない部分もあるので、最後になってまたやり直しということは多々ありますが。 迷いの元になるのはたいていは色味と淡い部分をどのくらいまで持ち上げるかだと思います。 このうち淡い部分をどのくらいまで強調出来るかは元画像のSN比とそれぞれ個人の許容範囲にかかっているので、これまたある程度限界は分かりやすいです。 残るのは色味ですが、本当の色味というのもよく分からない天体相手において基準に出来るのはただ一つ、現在のデジカメではRGB三原色を黒い部分は黒く、白い部分は白く、グレーの部分はグレーになるよう混合比を指定やることで他の色も人間の目で見た色に近く出力されるようチューニングされているということです。 これはデジカメを使う場合にもっとも正確にホワイトバランスを合わせるためには18パーセントグレーのカラーボードを使ったり、レタッチソフトでも全体の色味を整えるためにレベル調整画面で白か黒かグレーである場所をスポイトツールなどで指定してやることで正しいホワイトバランスを取るような機能があることでも明らかです。 これを最初にやらずにこの星雲はもっとこんな色であって欲しいとそこだけ見て色を調整するようなやり方を重ねていくと、RGBそれぞれのヒストグラムはどんどん複雑な形になっていき、それは当然他の部分にも影響しますので、もう迷うどころではなく収拾が付かなくなってしまいます。 幸い天体写真ではバックグラウンドの星雲もなにも無い宇宙空間はナチュラルグレーのはずですし、ヒストグラムもとても単純な山形ですので、まずはこのRGBそれぞれの山の幅と頂点の位置を合わせ込むよう出来るだけ丁寧に調整し、その時現れている色をまずは信じてその後の強調作業をするしかありません。 勿論センサーや光学系の個性、そしてフィルター使いなどによってバックグラウンドを同じようにナチュラルグレーにすると星や星雲が少し違う色になってしまうことはよくありますが、これはフィルムでもそれぞれに個性があったように仕方ないことで、そこらへんも含めて後半レタッチ作業に入ってからデジタル現像、トーンカーブ、彩度調整などで好みに仕上げる過程で調整出来る範囲で調整ということになるでしょうか。 ちなみに私は一つの写真を仕上げるのに例えば5時間かかるとすると、そのうち7～8割の時間を前半のあらゆるノイズを低減させる作業、特にカブリ補正に費やし、後半の色味や輝度に関する強調作業はほとんど時間は使いません。 この写真はピントが素晴らしくて色収差はほとんど感じませんし、少し周辺減光は残るようですが顕著なかぶりも見られず、枚数重ねただけあって相当素性の良い画像で、まだ微かに青くかぶってますが星雲部分だけ持ち上げれば画面いっぱい淡いガス雲だらけなのが浮かび上がると思います。 しかしこれだけ輝度差のある画角だとそれは星マスクを使わないと難しいですので、後半部分、輝度や彩度の調整部分で迷われているならそれを工夫されると一気に見違えるような1枚になると思います(^^ゞ

2013年03月29日22時14分