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その木は、城跡の公園の北門に生えていました。 小学〜高校までの間、よく目にしていた日常の光景でした。 城垣の上に、その倍もの高さに育った老木は堂々としていて、四季を問わず、上から見守ってもらっているような安心感がありました。 高校卒業と同時に、ふるさとを離れました。数年後、城跡の公園を通りがかると、木はなくなっていました。 何かもの足りない・・・ 喪失感・・・ 城垣の上の空間は、まるでぽっかり穴があいたように、すかすかしていました。 それほど、風景に溶け込み、記憶になじんでいた老木でした。