eternita
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J
B
風に揺れる薔薇園の片隅で彼と彼女は向き合っていた。 昼間は人々の目を楽しませる鮮やかな薔薇たちも夜の帳を降りる頃には静かに息を潜める。 まるで彼と彼女の愛を映し出しているかのようだった。 「この薔薇を見て」彼がそっと指さしたのは葉陰に隠れ誰にも気づかれずに咲いている小さな薔薇。 「人の目に触れることはなくても、ここで懸命に生きているんだ」 彼女は微笑んだ。 「まるで私たちみたいね」 愛し合っているのに一緒にいることは許されない二人 (コメントに続く)
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何度も抗おうとしたけれど、どうすることも出来ない事情が彼らを隔てていた。 それでも、こうして短い時間を共するだけで、お互いの心は確かに繋がっていると感じられた。 「この薔薇みたいに私はずっとここにいる。たとえ遠く離れても、あなたのそばで咲いているつもりよ。」 彼女はそっと薔薇の花に触れた。 彼はその手を握りしめる。 「僕も同じだ。どこにいても、心は君のそばにいる。」 別れの時間が迫る。 二人は最後に薔薇を見つめ、そして静かに背を向けた。 夜風が吹き抜けると、薔薇の香りがふわりと漂った。 まるで彼らの想いが、目には見えなくとも、確かにこの世界のどこかで寄り添い続けることを伝えているようだった........
2025年06月07日22時57分