ある男の写真日記

私は子供の頃から当時は朝鮮人と言われていた人達の 間貸しのアパートを二軒住み渡ってきた。 間貸しだから共同トイレで風呂もないので銭湯へ行く毎日だった。 心無い小学校の同級生には「お前朝鮮人だろ！」と言われたこともあったが 別に気にもしなかった。 勿論松阪で生まれた日本人なのだが…（苦笑 当時の親父の仕事は日雇い人夫で日銭稼ぎの毎日。 そして小学校では市の補助で日雇いの子供は給食費が免除された。 但し、一旦茶封筒にお金を入れて収め 後日だったか、職員室に呼び出されて給食費を返してもらうんだ。 そんな時小学校三年生だった俺に担任の水野先生は 「お前のとーちゃんまだそんな仕事しとるんか？」と言われたのが ６４歳になった今でも鮮明に覚えている。 そして子供心に、こいつは先生の柄じゃないと思った。 というのも、 お袋がいつも口にしていた言葉の一つに 「職業に貴賤はない」という言葉だったからだ。 流石に二つ違いの妹にはかわいそうということでこの制度は使用しなかったそうだ。 そして四年生の三学期に木造長屋の市営住宅が当たった。 そりゃ我が家の産業革命だわさ。 退去した前の住人が残していた風呂を買い取り風呂付の家で 共同便所から水洗トイレまであったからね。（笑 そして結婚まで名古屋市北区の上飯田という下町で過ごした。 その地域は大曾根に近く朝鮮人からヤクザの息子、テキヤの息子やら まるで人種のるつぼのような地区だった気がする。（笑 今でも覚えているのは 朝鮮人の同級生で給食の無い中学で昼になると外で石を投げていた 金本ちゃんをよく覚えている。 お金も弁当も持たされていなかったのだろう。 かと言って施されることも拒絶するような根性ある眼を持っていた。 今では立派になっていると思いたい。 それと長安という朝鮮人の友達もいてよく遊んだよ。 それから成長し 大學出て保険会社に勤めた物の２８で親父のドカチンの世界に飛び込んだ。 その頃の親父は少し真面になり人夫集めてして仕事を請けていた。 そこでも朝鮮人の人夫さん結構いたて 戦後から差別を含む苦労をしていたいう話に耳を傾けていた。 社会人になった時に中学のクラス会があった。 皆が苦笑いしているのはヤクザの息子で新聞に載った同級生が 出所して参加していたからだ。 そして先生に 「刑務所で貰った珈琲が一番美味かった」と話しているのを見て 笑ってしまったよ。 先生も刑務所の珈琲の味なんて分からないからね。（笑 彼は偶に街中で会うと当時は珍しいアメ車のデカい車に乗って 「珈琲でも飲みに行こうか」とおごってくれた。 気のいい奴なんだ。 数年後彼は堅気になった。 勿論彼も在日二世だよ。 また五十前後で同窓会があった。 マンション経営やら店舗もやっているようだ。 在日二世だから仕事も限られる代わり その分商才はあったと思う。 親父のレールを歩いた俺に比べれば立派だと思う。 以上、話し出したら切りがない！（笑 要は幼いころから在日の人達と縁があった気がする。 今は自営も廃業し全く無くなってしまったのだが そんな経験から読んだこの本は非常に言葉がスムーズに頭に入ってきた。 後で知ったのだが作者は女性だった。 日本人もそうだが在日でも悪い人間はいるし また良い人間もいるんだよね。 それは当たり前のこと。 日本人だからといって先に書いた常識のない言葉を浴びせる先生もいる。 何処の国でもそうさ。 だから在日という言葉だけで文章を否定することはできない。 気軽にそんな苦労をした人がいたんだと読めばいい本だと思います。

2023年01月21日12時08分