〜旅の日記より〜 北海道では好ましげなおじさんに「父さん」と呼びかけることがある。今日「九州の父さん」に出会った。じっと海を見つめている背中には哀愁という言葉が染み込んでいるようだった。父さんは長いこと玄界灘で海の仕事だったそうだ。奥さんの生まれ故郷を訪ねての旅の途上。現役時代の仕事柄か、余計なことは喋らないが僕は確信した。亡妻に対する感謝と詫びの旅なんだと。一時間ほども語り合い、そして別れた。

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