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写真掌編:続々々・夜会の花(龍馬異聞 Ⅳ)2

写真掌編:続々々・夜会の花(龍馬異聞 Ⅳ)2

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    *思ひ草、十五夜草、シオン。蟻がいます。 *つづき  薩摩の家老小松帯刀は、龍馬とお龍の面倒をよく見た。 時どき二人を、藩邸からすぐ近くの自分の屋敷に招き、夕食を共にした。 そんな時にはいつも、お龍が月琴を弾き歌を歌った。龍馬も、興に乗るとお龍の月琴に合わせて歌うこともあった。いやむしろ、龍馬が自作の和歌に節をつけて歌い、お龍がそれに月琴を合わせる、というものだった。  ♪世の人は われをなにとも ゆはばいへ〜 わがなすことは われのみぞしる〜♪ *下につづく

    コメント3件

    yoshi.s

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    *上からのつづき  龍馬と同い年の小松は、一介の脱藩浪人である龍馬を兄弟のように愛し、その自由さに憧れの気持ちすら抱いていた。必要とあらば龍馬のために身を惜しまずに尽力した。 龍馬が長崎で亀山社中を作ったのも、小松の支援があればこそであった。のちに薩摩藩が社中の浪士たちに給金を払うようになったのも、小松の計らいだった。龍馬が藩の垣根を越えて自在に活躍できたのも小松の計らいに依るところが大きい。  龍馬は薩摩藩邸で1ヶ月も療養していたのだが、なかなか傷が癒えなかった。 小松は西郷と語らって、龍馬とお龍に温泉療養を勧め、薩摩への旅を斡旋した。そして龍馬たちの薩摩での足場として、鹿児島の自分の別邸を世話したのであった。  こうして龍馬とお龍は図らずも、のちに日本で最初の新婚旅行と呼ばれる旅をすることになった。  龍馬とお龍の薩摩への旅は慶応2年の3月中頃から6月の頭まで(1966年4月末〜7月半ば)の3ヶ月近くにも及んだ。 二人は龍馬の手傷の療養のため、温泉に逗留しながらだんだんと霧島に向かって旅を進めた。3月の末ごろ、霧島連山の高千穂峰の登り口、高千穂河原に着いた。  高千穂峰はコニーデ式火山で、富士山に似た形をした1600mほどの山だ。登山口の高千穂河原からは、2km余りの細い登山道がある。お鉢と呼ばれる噴火口を周り越えると、高千穂の峰がある。  峰の周りには、ちょうど花の見頃となっていた霧島つつじが群生していて、それを見た龍馬とお龍は声を上げた。 つつじが咲き乱れる峰への山道を登りきり、二人はとうとう高千穂の峰に着いた。  するとそこには天逆鉾(あめのさかほこ)と呼ばれる大剣が突き刺さっていた。剣先が上を向き、柄の部分が大きな石ころの塚に刺さっていた。誰がいつ刺したのかは現代の今でも分からない。伝説によれば、神話の神が国生みに使ったとのこと。この鉾を使って海をかき混ぜ、そこから垂れた雫が島になったのだそうだ。 二人はこれを見るために登って来たのだ。  しばらく眺めたり触ったりしていたお龍が、「これ唐金(からかね)の管(くだ)のようやわ」。「抜けますやろか」と言った。 「やってみたらええが。難しかったら手伝ってやるけん」と龍馬が言うと、案内役として同行していた田中吉兵衛が慌てて、「そ、それを抜けば火が降ると、昔から申します。どうぞお止め下さい」と言う。  お龍は、「なに、大丈夫」と言いながら周りの石をどんどん払いのけて、逆鉾に手を掛け、一気に引き抜いてしまった。 龍馬は笑って、「ほうらな、火も雨も降らんぜよ。神さんじゃのうて、きっと誰か人が埋めたに違いない」と言った。 田中吉兵衛は、「ああ、あ。せめて元に戻しておかんと・・」と言ったが、龍馬は取り合わず、「また誰か人が来て元に戻すがぜよ」と言い、そこに倒したままにして下山してしまった。 二人とも、迷信のようなものはまったく信じない質(たち)のようだが、いたずらにしてはいささか度が過ぎているようだ。  二人はこれからさらに温泉巡りの旅をするのだが、龍馬にとってもお龍にとっても、この薩摩での日々はおそらく人生で最も幸せな時であったろう。  一方、長州をめぐる政治情勢は緊迫していた。 一度は京を追い払われた長州だが、再び過激攘夷派の活動が盛んになり、幕府は第二次長州征討の準備をしていた。幕府の命を受けた諸藩は長州攻めの用意をしたが、薩摩は、薩長の盟約に基づき幕府軍に加わることを拒否した。長州の隣りの広島藩も幕府の要請に応じなかった。幕府の権威は衰えを見せていた。 *つづく

    2022年07月31日22時12分

    ぶっちゃん

    ぶっちゃん

    こんにちは。 綺麗なシオンの花を愛でながら遠い昔へ思いを馳せて みました。

    2022年07月26日12時00分

    yoshi.s

    yoshi.s

    ぶっちゃんさん うれしいですねえ。 で、どちらの遠い昔? 思ひ草の思い出の方?それとも龍馬の時代? それともご自分の遠い記憶かな?

    2022年07月26日19時34分

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