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写真掌編:続々・夜会の花(龍馬異聞 Ⅲ)3

写真掌編:続々・夜会の花(龍馬異聞 Ⅲ)3

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    *つづき  龍馬は4発目を打った。その弾がまた捕り手に当たった。打たれた捕り手は階段を転げ落ち、後ろにいた5−6人が巻き添えを食って雪崩のように落ちていった。  龍馬は笑い、そして覚悟を決めた。「大勢でかかって来て、卑怯な奴らだ。こちらから押しかけて、斬って斬って斬りまくるか」  しかし三吉は、「相手になるは無益。引くなら今だ」と言う。 「そんなら、引こうか」と龍馬が答え、二人は部屋の後ろ側の濡れ縁から屋根に飛び出した。 「お龍、薩摩屋敷に行くぞ」と、龍馬が声をかけた。 *下につづく

    コメント3件

    yoshi.s

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    *上からのつづき  お龍は「あい!」と答えて、あとに続いた。 濡れ縁の手すりに手をかけると、手にべっとりと血がついた。どちらかがやられたな、と思いながら庭に飛び降りた。 そして一階の縁側の下にあった下駄をつかんで通りに飛び出した。表通りを裸足で歩けば不審に思われると思ったのだ。  龍馬と三吉の姿はもう見えない。二人が見つからないようにと祈りつつ、お龍は通りを走った。提灯を掲げた応援の捕り方らしき人影が見えたので、手にした下駄を履いた。 「こんな暗い中、何しとる?」と誰何された。 「いま寺田屋の前を通ったら、捕り方が大勢集まって、斬ったとか張ったとか言っているので怖くて逃げてきた。あなたも捕り方さんのようだから行ってごらんなさい」と言うと、「うむ、そうか。気をつけて行けよ」と、お龍を放免した。 お龍は、「龍馬さんの羽織をひっ被って来てよかった」と思った。  夜が白々と明けて来た頃、お龍はそのまま薩摩の伏見屋敷に駆け込み、龍馬が来ていないかと尋ねた。たまたま出て来た面識のある大山綱良が「どうした?」と聞いた。大山は薩摩一の剣客である。 お龍が、こういう訳です、と事のあらましを話すと、大山が「そりゃあ大変だ。探しに行こう」と門を出ようとしたところに、三吉慎蔵が駆け込んで来た。 「龍馬は、濠川沿いの材木小屋に隠れている。血を流しているし二人では目立つので、自分がこうして知らせに来た」と言う。 龍馬が血を流していると聞いて、お龍の胸が早鐘のように鳴った。 大山は、龍馬のいる場所を詳しく聞くと、そこにいた土佐藩の吉井玄蕃と共に、藩邸の目の前の濠川に小船を出して探しに出かけた。  門の中で三吉とお龍が火を焚いて寒さをしのいでいると、間も無く門の外に三人の姿が現れた。お龍が喜んで飛び出していくと、龍馬は「おまんはもう来ちょったか」などと呑気な事を言った。 お龍が「どこぞ斬られてはいはりまへんか」と聞くと、龍馬は「うむ。ちょくとやられた」と言いながら、包んでいた布を取って、左手をお龍に見せた。親指と人差し指がざっくりと切り裂かれ、手が血だらけになっていた。「捕手が切りかかって来たので短銃で受けた時に切られた」と龍馬は言った。  大山は、「とにかく無事でよかった。ささ、中に入ってたもんせ。傷の手当てをしまっしょ」と、皆を屋敷の中に招き入れた。  夜はもう開けて、伏見の空は明るくなっていた。

    2022年07月25日15時05分

    ぶっちゃん

    ぶっちゃん

    こんにちは。 龍馬もお龍さんも天国でつぶやいている事でしょう! 俺達のこと噂にのぼってるらしいよって微笑んでいる事でしょう^^

    2022年07月19日10時54分

    yoshi.s

    yoshi.s

    ぶっちゃんさん ふふ。「また誰か噂してるよ」ってね。 あまりにも有名な夫婦です。ほんの2〜3年の間の結婚だったのにね。

    2022年07月19日14時51分

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