矮星

いつからだろう ふと気が付くと下ばかりみている自分がいる とりたて不幸という訳でもない人生なのに 幸福も感じない 毎日、同じ道を行ったり来たり 時間と労力を搾取されるような仕事をして いつも同じ道を歩き 誰かの役に立つ訳でもなく 誰かに認められる事もない 時間と労力を対価に 家賃と光熱費と食費を支払ったら自由に使えるお金なんて残らない賃金を稼ぐ 世界情勢だのなんだので物価は上がる一方 働いて疲れているのに今晩も節約飯を作り どうでも良い企画で無理やり盛り上げてるテレビを見て 苦笑いをして寝るだけ いや　でも　・・ こういう　考えはやめなくては 世界には過酷な状況でも生きなければいけない人達も大勢いるのだ 何もないから不幸とか そんなの　ただの甘えだ 「足る事を知る」 「シンプル・イズ・ベスト」 生き方なんて考え方次第で楽しくなるはずだ そうだ楽しい事もある 例えば風呂だ 風呂は良い ぬるめの湯で半身浴なんてのも良いが 私は熱めの風呂に足をゆっくり入れる時の高揚感が好きだ 日本人として生まれて良かったと思う時は何度もある 風呂から出たら飲み物をグイっと飲み干して 湯冷めしないうちに布団に入る それだって幸せなはずだ そう幸せなんだ だが　気が付くと下を見ている　・・ 今日は雨か 靴底が磨り減ってきてるのか少し滑り気味に感じる んっ こんなところに壁画が いつから有るのだろうか・・ いつも下を見て歩いてるから気が付かなかった ・ ・ ・ おとぎの世界か　・・ 子供の頃、母親に連れられ、こんな感じの遊園地に連れて行ってもらって楽しかった記憶もあるな・・ だが今は何の興味もない、こんな嘘っぱちな世界どうでもいい 帰ろ ・ ・ ・ ・ しかし壁画に書かれた子、昔の自分にそっくりだったな 服も・・ はじめて遊園地に行くから買ってもらった服だったような・・・ 記憶があるような ないような ・・ も一度見てみよう ・ ・ ・ あ れっ 確か ここだったよな 壁画 ん この雨に濡れたチケット 遊園地のチケットか ・・ え 1980年　！！

2022年04月03日12時47分