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さよなら札沼線

さよなら札沼線

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    5月6日に予定されていた廃線が、新型コロナの一連の状況によりバタバタと前倒しされ、 4月17日の運行が最終でした。もう、あの線路に列車は走っていません。 (コメントに続く)

    コメント5件

    mizunara

    mizunara

    札沼線は、空知を走る路線です。 僕は子供の頃、親の仕事の関係で、空知地方の町を転々としていました。 札沼線沿線には住んだことはありませんが、近隣なのでよく知っており、馴染み深い地域です。 空知地方は、十勝ほど広大ではなく、旭川富良野あたりのような山岳景観もなく、 ニセコのような明るさもなく、大自然が残るわけでもない、一見特徴に乏しい田舎なのですが、 空は広く、田んぼの匂いがして、山々は優しげです。若い頃は、そんな地味な自分の田舎には 関心がなかったのですが、最近はその優しい景観が好きで落ち着きます。 僕が鉄道風景を撮るようになった2017年、初めて訪ねた路線も札沼線でした。 よく知っていると思っていた沿線でしたが、線路沿いを辿り、駅を一つずつ訪ねてみると、 初めて見る景色ばかりでした。 石狩金沢駅、本中小屋駅、中小屋駅の置き捨てられたような佇まい、 石狩月形駅の歴史を感じさせる木造駅舎、 ひっそりと森に囲まれた豊ヶ岡駅はまさに秘境で、 札比内駅や晩生内駅の可愛いらしい小さな駅舎、 そして、南下徳富駅、下徳富駅の田んぼに囲まれたロケーション。 どれも「身近にこんなところがあったのか」と驚いたものです。 中でも、南下徳富駅、下徳富駅は、西の空にピンネシリがどっしりと見え、 空は広く、田んぼの匂いがして、いかにも空知らしい場所でした。 でも同時に、走る列車には明らかにほとんど利用者のいない様子も伺えました。 初回の訪問から家に帰ったとき、奥さんに「あれはいずれなくなるわ」と話したことを覚えています。 以来、何度も札沼線を撮りに出かけました。 撮影する際には、辺りに誰もいないことがほとんどです。 デジタルで撮るかフィルムで撮るかを決めて、構図を決め、露出を確認し、 待っていると、遠くからファーンと警笛が聞こえて、近くの遮断機の音が鳴り出して、 撮影への集中が高まり、やがて単行のキハ40が見えてきて、 狙った場所を走るところを夢中でシャッターを切り、 去っていく列車を見送る。 そしてまた静けさに包まれる。 辺りには誰もいない。 自分と、線路や駅舎だけ。 いま来て去った列車は現実だったのだろうか、なんて思ってしまう。 そんな行為が面白くて、鉄道風景を撮り続けるようになりました。 鉄道風景を撮る楽しみはなんなのか、なぜ鉄道に惹かれるのだろう、とよく考えます。 例えば、同じような景観の中を走る自動車用の道路に、同じように惹かれることはありません。 鉄道と道路では何が違うのか。 なぜかはもう、だいたい自分でも分かってきていますが、 言葉を連ねても寂しい話にしかなりそうにないので、やめておきます。 札沼線を走る列車は、キハ40の401番と402番が主でした。 北海道のローカル線ではお馴染みのキハ40ですが、札沼線の401と402は、少しカラーリングが変えられています。 分かりやすいのはドアの緑ですが、ベースの白も微妙に異なります。 JR北海道のキハ40の一般タイプのベース色はライトグレーですが、札沼線のほうはほぼ白です。 なので、印象が明るくて優しげで、空知の景色によく似合っていたと思います。 5月6日を過ぎれば、あっという間にレールは撤去されるでしょう。 あの駅舎たちはどうなるのだろう。いくつかでも残してくれればいいなと思います。 401番と402番の列車は、日高本線の優駿号みたいにまだどこかで走るのかな。走るといいな。

    2020年04月30日17時17分

     コンサ

    コンサ

    思いの込められた文章、拝読させて頂きました。 まるで遠くへ旅立つ友人へ語りかけるような、そしてご自分に問いただすような、素敵な文章ですね。 ありがとうございます。

    2020年05月01日00時29分

    mizunara

    mizunara

    コンサ さん コメントありがとうございます。 今となっては、深名線や羽幌線など、見たかった路線がたくさんある中で、 札沼線の最後の数年を見ることができたのは、むしろ幸せだったかと思っています。

    2020年05月01日14時17分

    ninjin

    ninjin

    函館本線と並行して走る鉄の道 石狩金沢駅、本中小屋駅、中小屋駅 石狩月形駅、豊ヶ岡駅、札比内駅、 晩生内駅、南下徳富駅、下徳富駅 みんな良い名前ですね。

    2020年05月10日18時40分

    mizunara

    mizunara

    ninjin さん、 下徳富駅の先は、終着の新十津川駅といいます。 奈良の十津川村からの移住者が拓きました。 札沼線の沿線は、北海道の地名には珍しく、和名由来のものが多いです。

    2020年05月11日21時43分

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