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「でも、露出やピントはカメラまかせでも、シャッターチャンスや構図取りなど、撮り手がやらなくちゃいけないこともあるわよね」。凛子が言う。 「そうだね。でも今ではそれすらも、シャッターチャンスは連写機能。構図取りは、撮っておいて後でトリミングでまかなえる。そうなって来ると人間のやることは、何を撮るかを決めることだけになる」。「で、何を撮るかということは、なにを見ているのか、または見ようとしているのか、ということだ」。「そこで問題になるのは、自分にとって写真撮影とはなんだ、ということだ」 *下につづく
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*つづき 「多くの人がいいという写真が撮れればそれでいい、と言うのなら、オートでいい。しかし、自分のこだわりや、表現したいものがあるという場合には、オートまかせでは難しいこともある」。「花を撮っても、花のなにを撮るのかによって、ピントの位置や明暗などが微妙に異なる」。「さらに、結果のみならず、写真撮影そのものを楽しみたい、と言うのなら、そりゃあ何と言ってもマニュアルだ。面倒を承知の上でね」と、佳夫が言う。 「ああ、それこそ、佳夫くんのお父さんのオールドジープね」。「乗り心地最悪、気分最高・・、よね」と、凛子。 「ああ、まったくだ」 二人は大笑いした。 *つづく
2020年04月01日16時12分