写真共有サイトPHOTOHITO人と写真をつなぐ場所

きこりん きこりん ファン登録

暦の上ではもう春なのに

暦の上ではもう春なのに

J

    B

    コメント1件

    きこりん

    きこりん

    今週に入ってから僅かに気温が上がり始め、降り積もった雪の根も緩み始めた。 屋根の上に降り積もった雪の重さで室内の襖が開かなくなっていたので、部分的に雪を降ろした。 襖が開くようになればヨシだったので、ほんの一部分しか降ろしていないのもかかわらず、屋根の下にはもうすぐ屋根に届きそうなほどの雪山ができた。 夜になると、ほぼ日課となりつつある野生のキタキツネ「Tsuki」との遊びが始まるわけだが、昨日まで無かった雪山を見上げてTsukiも考え深げにしていた。 暦の上ではもう春なのに・・・ いつものようにTsukiと遊びながら、ふと懐かしい唄がよみがえってくる。 もう40年以上も前なのに、今でも歌詞があふれ出てくる。 ボタンダウンのシャツすら着ることの無い現代っ子のTsukiには言葉の意味すら理解できないことだろう。 そんなことを考えながらTsukiを見ていると思わず笑えてくる。 遊びを小休止し屈んでいると、Tsukiも目の前に座り込む。 手を伸ばしてTsukiの前に差し出すと噛んでこようとする。 噛まれないようにと差し出した手を左右にゆっくりと振ると、飼い猫や飼い犬と同じように、手の動きに合わせてTsukiが顔を振る。 Tsukiの目はすっかり私の手に釘付けになっている。 しばらく続けていると、さすがのTsukiも苛ついてきたのか「クゥークゥー」と、犬ほどではない、息の混じった小さな声を出し始めた。 あまり苛つかせても可哀想なので、不意に立ち上がって走ってみると、Tsukiも慌てて追いかけてくる。 またいつもの追いかけっこが始まった。 このまま夜が明けるまで遊ぼうか? 夜の過疎地に春の雪が舞い落ちてくる。 桜の花びらのように静かに・・・ 私が立ち止まるとTsukiも立ち止まる。 「また明日ね」手を振る私をTsukiはいつまでも見送っている。 じっとして動かずにいるTsukiの姿が雪に埋もれて消えていく・・・ また明日・・・

    2019年02月20日02時28分

    新規登録ログインしてコメントを書き込む

    同じタグが設定されたきこりんさんの作品

    • Moments in love
    • StrayCatは何を見たのか
    • Forever
    • Blue City
    • 春まだ遠く
    • 破滅のメロディー

    最近お気に入り登録したユーザー

    写真を削除しようとしています。

    本当に写真を削除しますか?

    こちらのレビューを他のユーザーに公開します。

    レビューを公開しますか?
    講評の公開設定については必ずこちらをお読みください。

    コメントを削除しようとしています。

    選択したコメントを削除しますか?

    エラーが発生しました

    エラー内容

    PAGE TOP