写真共有サイトPHOTOHITO人と写真をつなぐ場所

yoshi.s yoshi.s ファン登録

写真掌編『こぶし』10:佳人あり ⑸/Final:投稿5周年

写真掌編『こぶし』10:佳人あり ⑸/Final:投稿5周年

J

    B

    「私もここに入ったの」。花が微笑みながら言った。 「ぼくがここに入ったから?まさか」 「ううん。そんなわけないじゃない。圭太君がここを受験したことさえ知らないのに」 「圭太くんこそ、まさか?」 「君を見てびっくりした。知るはずがないよ」 「冗談よ」「まったくの偶然ね」 「偶然にしてはでき過ぎだ。本当に君は驚かせてくれる。でもナイス・サプライズだ」 「え?」 「いや、何でもない」 「じゃあ・・」 そのとき式場の前のこぶしの花が目の前を飛んだ。 ぼくの心の中の何かが動いた。 *下に続く

    コメント16件

    yoshi.s

    yoshi.s

    *つづき  ぼくは思い切って言った。 「今日はご家族と一緒?」 「両親が来ているわ」「でも式が終わったらすぐに帰るって言ってる」 「じゃあ、終わったら一緒に食事しようか。再会を祝して」 「ごめん。友だちと約束してるの」 「えっ、男の子?」 「気になるの?」 「いや、ただ聞いただけだよ」。「いや・・、気になる」 「ふふ、女の子よ」「同級生」 「そうか・・」 「でも明日の日曜なら空いているわよ。デートを申し込むなら今のうちだぞ」 「申し込む!」 「OKよ」 「明日、朝9時でどう?」「一緒にブランチを食べて、それからこの街探検って言うのはどうだろう?」 「いいわよ」。「さあ、行きましょう。入学式が始るわ」  まったく君は、昔のままだ。 変わったのは、あの堅いこぶしの蕾が一気に花開くように、とてつもなくきれいになったということだけだ。  いや、変わったのはもう一つ。ぼく自身だということに、ぼくはこの時まだ気づいていなかった。 *おわり ーーーーー  二人の道は5年がかりでやっと交わったようです。  人生は不思議なものですね。 あの時、あれがあったから・・・ あの時、あれがなかったら・・・ で、人の歩む道は大きく変わって行きます。 ゲームのようにリセットできるものなら、あなたはあなたの人生をリセットしますか?

    2018年04月28日01時19分

    旅鈴

    旅鈴

    圭太君、成長しましたよ。 軽口が言えるようになりました。 素直に彼女の口調に合わす事ができるようになりました。 やはりある時期、彼女と離れて、いかに彼女のことが好きだったのか、 自分の中で整理できたのでしょう。 それに大学生になった解放感もあるかもしれませんね。 もう受験勉強しなくていい、自分のしたいことが出来る、と。 リセットですか。 私はイフが多いですが、このままだからこそ、イフの意味があるので、 リセットしたら、違う自分がいるかもしれないので、いやですね。 私は色々欠点はあるけれど、今の自分、結構好きなんですよ。

    2018年04月28日02時54分

    michy

    michy

    デートの約束までできて圭太君おめでとう。やきもきさせられましたよ。 圭太君がリセットできたこと旅鈴さまが書いて下さった通りと思います。 きれいになったあの佳人を、ずっと旅鈴さまをイメージして読んでいました。 明るくてさっぱりしていて、女性の私でさえ惚れてしまいます。 慎重さ不足、軽はずみ、消極的、私はリセットしたいところばかりです。 でもこれからはあるがままで日々反省をしながら楽しく過ごしたいと思います。

    2018年04月28日10時50分

    旅鈴

    旅鈴

       振り向けばそこには 夏のある日、小学校の時の同窓会があった。 お盆休みや大学の夏休みで、わりと多くの参加者があった。 T君も来ていた。他の人と話しているのを聞いたところによると、 大学を卒業したらKさんと結婚するらしい。 高校は違っていたけど、偶然、同じ大学だったらしい。 やっぱり縁があったのだろうな。 後ろからポンと肩を叩かれ振り向くと幼馴染のN君がいた。 N君とは家が近所でよく一緒に遊んだものだ。 他の子たちが家に帰っても、私たちは家が近かったから、遅くまで一緒にいた。 中学校に入ってからは、お互いクラブ活動があったから、 一緒に遊ぶことはなくなった。 彼は高校を卒業後、家の酒屋を手つだっていて、時々配達しているのを見かけた。 「よう、お盆休みか」 「仕事、頑張っているわね」  「まあな。ところでこの後どっかへ行かないか。」 「どっかって」 「例えば海とか。」 「海か、随分行ってない気がする」 私たちは、潮風に吹かれながら、 今日会った級友の誰彼について話した。 しばらくの沈黙の後、N君が言った。 「ぼくたち、付き合わないか」 私は本当は知っていたのだ。 N君がいつも私を見ていたことを。 私がいつもT君を見ていたように。 T君はもう私を振り向いてくれないけれど、 私が振り向けば、そこには新しい人生があるのかもしれない。 窓際の君にも幸せのおすそ分けをと思って。 mi姉さま、圭太君の佳人の人は、私なんかじゃありませんよ。 とんでもない、全然違いますよ。 私はどっちかというと窓際の君かな。 この話、かなり少女漫画の影響を受けています。

    2018年04月28日18時54分

    yoshi.s

    yoshi.s

    旅鈴さんの最初のコメントに: 旅鈴さんが、今のご自分、今の人生でよかったと思っていることはよく分かります。 実際、人生をリセットしたいと思っている人は、それほど多くはいないと思います。 満足ではないにせよ、不足に思うことばかりであるにせよ、消してしまいたいと思う人生はほとんどないでしょう。 人生には多かれ少なかれ、人と交わり、共に過ごし、その関係が成長して今日に至る、まるで生き物のような『人間関係』があり、その結果としての出来事があるからです。良くも悪くも、それに愛おしさを感じるのです。過ぎ去った人間関係ですらも、今となっては愛おしい。そして何よりも今の自分の家族、子ども、孫。つまり自分の人生は愛おしいのです。 別な人生も体験できるというのなら、それは興味のあるところですが、今の人生を消してしまってリセットだなんて、とうてい考えられませんね。 その愛おしい人生は、今のいまも、こうして紡がれ続けているのですね。 旅鈴さんの人生の一部を使った幾つもの写真や掌編小説、そしてこのようなコメントですらも、その愛しい人生の One Piece なのだと思います。

    2018年04月28日19時45分

    yoshi.s

    yoshi.s

    michyさん 圭太君は決してリセットしたのではなく、積み重ねたのだと思います。 成長とは積み重ねです。前の自分とは違うとか、変わったとか言いますが、それは決してリセットされたのではなく、積み重ねられたのものです。良くも悪くもです。 つまり人間は、そう願ったところで、リセットはできないのです。常に積み重ねです。 できる事なら、より良いものになるような積み重ねをしたいものですね。

    2018年04月28日20時02分

    yoshi.s

    yoshi.s

    振り向けばそこには、の旅鈴さんへ: やさしいね、旅鈴さん。 窓際の君にも春の風が・・。 こぶしの花がやさしく揺れていますよ。 michyさんのおっしゃるように、圭太君の君は、書いているうちに、michyさんや私がイメージする旅鈴さんの雰囲気になって来ましたね。シャキシャキしてるし、ボーイッシュだし。 失礼、かな?

    2018年04月28日20時05分

    旅鈴

    旅鈴

    mi姉さま、yoshi.s様、 ちょっと恥ずかしくて穴があったら入りたいですよ。 私は皆様がイメージなさるような人間じゃありませんよ。 まあ、男っぽいというのは本当で、女性らしさがないのです。 女性らしくするのが苦手でした。化粧はしないし、身なりもかまわないし、 ファッションやゴシップにも興味がなかったし、トイレも独りで行ったし。 (中学、高校時代、女子は連れだってトイレに行ってたのですよ。) 私はちょっと異端者でしたね。

    2018年04月28日21時20分

    michy

    michy

    yoshi.sさま 鈴ちゃん お二人にいつもやさしく導いて頂いて安心感をいただいています。ありがとうございます。 少し気持ちを整理してすっきりしたいし、前向きにと自分でも思っています。 鈴ちゃん yoshi.sさまがボーイッシュと言って下さったので公認ですよね。 私も初め男性の方と思っていました。去年の5/6と5/10にケーキを焼いたり お料理をしたりとのコメントではっとしました。1年経って今告白。ごめんなさい。 建築のことや扉のこと文章の簡潔さ知識の豊富さに男性と感じていました。 女性はみかけではありませんよ。鈴ちゃんは女性のする事なんでも立派になさいますし、 私が今までに知り合った女性の中で最高の女性と思い尊敬しています。

    2018年04月29日08時40分

    旅鈴

    旅鈴

    mi姉さま、yoshi.s様、 もうほんとに、地球の裏側まで 穴彫って行きたいくらいですよ。 あ、マグマがあるからそれは駄目だ。 でも皆様がそういう風にお感じになるのもわかります。 私も他のユーザーの方が、女性か男性かわからない人が居ますから。 飛行機や電車を多く撮っているからって、男性とは限らないのですよね。 最近、知りました。 こういう私ではありますが、まだまだ乙女チック(心だけ)なので、 これからもよろしくお願いしますね。 本当に一年前はこういう交流を想像もしていませんでした。 時の積み重ねはありがたいことです。

    2018年04月29日14時50分

    chii☆

    chii☆

    5年かかって交わった奇跡♡ 明日からの2人の未来は きっとhappyなものになると信じています(*´v`*) この、もどかしく切ないお話♡ とっても素敵でした‼︎

    2018年04月29日20時22分

    yoshi.s

    yoshi.s

    chii☆さん もどかしく切ないのが青春時代ですね。 それが表現できていたとすれば本望です。 ご愛読、ありがとうございました。 また書きますよ。それまで、乞うご期待。

    2018年04月29日23時18分

    頑張れ!てんちゃん

    頑張れ!てんちゃん

    yoshi.sさん 読ませていただきました。 小学校から大学まで、時間が滑らかに流れているようで羨ましいなって思います。 私の場合、小学校はいろいろ楽しい思い出がありますが、中学校は緊張感いっぱいの状況だったし、高校は田舎から京都に出て受験一筋だったので、中高はいかに自分史を書くか考えてしまいます。 そして大学時代は羽目外しばっかり。 でも課題は、小、中、高と付き合っていた人がぶつ切りになったことが、僕の弱点だなって思っています。 そういった意味では、それがずっと続いておさまるところに納まろうとしているという状態になるのは、とっても羨ましいことです。

    2019年03月06日01時23分

    はなてふ

    はなてふ

    人生のリセット どうかなぁ その時々で選んだ道だから。。。このままでいきたいなぁ

    2020年05月06日15時55分

    yoshi.s

    yoshi.s

    はなてふさんもやり直しはパス。 幸せな人生、ということです。 それにしても、ここまで読んで下さったのでは、固定愛読者のお仲間に入って頂かなくては・・。いえ、なに、旅鈴さんなどがそう自称なさっていらっしゃるのです。 作者冥利に尽きます。

    2020年05月06日17時35分

    はなてふ

    はなてふ

    固定愛読者ですね 喜んで参加します~(^^♪

    2020年05月07日10時08分

    新規登録ログインしてコメントを書き込む

    同じタグが設定されたyoshi.sさんの作品

    • 写真句:夕焼けビーチ
    • 写真エッセイ:東京散歩31:東京都庁5:夕焼け東京
    • 写真歌:初春の夕暮れ:NTW225
    • 写真歌:エル・ドラード2:黄金の香り
    • 写真エッセイ:アメリカ見たまま記13:朝日の中
    • 写真歌:日が昇る

    最近お気に入り登録したユーザー

    写真を削除しようとしています。

    本当に写真を削除しますか?

    こちらのレビューを他のユーザーに公開します。

    レビューを公開しますか?
    講評の公開設定については必ずこちらをお読みください。

    コメントを削除しようとしています。

    選択したコメントを削除しますか?

    エラーが発生しました

    エラー内容

    PAGE TOP