旅鈴 ファン登録
J
B
ピンクのドレスを着た見知らぬ少女が、しなやかな手を差し伸べて僕をいざなう。 僕の手を取ってフロアの真ん中へ行った。 僕たちはカイザーワルツを踊った。 曲が進むにつれ、周りで何組かのカップルが踊り始めいつか僕たちは大きな渦の真ん中にいた。 曲が終わってテラスへ出た。春の朧月夜だった。 私は帰らなきゃ、と言って彼女は月を目指して羽ばたいていった。 誰も信じてくれないこんな話、空を飛ぶ夢を見るという、鈴は信じてくれた。 その子もきっと気分転換に踊りたかったのよ、というけど、また会えるかなあ。