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⑷ 僕とマリーはボブやジェニファーのグループに合流し、一緒になって歌を歌った。 二人で歩いている時に誰かがくれたビールのほどよい酔いも手伝って夜の更けるのを忘れた。 気がつくと、東の空に満月が煌煌と昇っていた。 「ワォ―ン!」 誰かが狼の遠吠えのように吠えた。 するとそれに応ずるかのようにあちこちからも、「ワォ―ン」、「ワォ―ン」と遠吠えが起こり始めた。 それが次々に広がって行って、やがて広場中が遠吠えで溢れた。 それが木霊して、周りの森の中からも聞こえてくるように感じられた。*下に続く
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*つづき マリーも「ワォ―ン、ワォ―ン」と、月に向かって吠えている。 僕も思い切って声を上げてみた。 「ワォ―ン」、「ワォ―ン」、「ワォ―ン」。 なんだか子供のころに戻ったような気持ちになった。「ワォ―ン」、「ワォ―ン」 「ワォ―ン」、「ワォ―ン」。遠吠えの声はますます数を増した。 やがて不思議なことに、始めはてんでんばらばらだった遠吠えの声が自然にまとまりだして、ついには一つになった。だれが指揮したわけでもないのに、あれだけいた人たちがまったく一つになって吠えている。 「ワォ―ン」、「ワォ―ン」 ものすごいエネルギーを感じた。とても不思議な感覚でエキサイティングでもあった。 涙が頬を伝い、それに気づいて我ながら驚いた。 見ると、マリーの頬も濡れている。 *つづく
2017年11月04日17時42分