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写真掌編:夜会の花2(龍馬異聞)

写真掌編:夜会の花2(龍馬異聞)

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    B

    *前作夜会の花1からの続き 龍馬を無事送り出したグラバーはほっと一息ついた。龍馬のことだ、上海の本社でもうまくやるだろう。ジョン万次郎を通訳に付けたから役に立つに違いない。 上海の本社には、龍馬の銃の買い付けに応ずるだけでなく、世界の情勢を説明できる人物を付けてくれと頼んでおいた。 グラバーのねらいは、むしろ龍馬に世界情勢を理解させることにあった。さらに言えば革命家としての教育を与えることであった。 *下に続く *前回、登場人物に仮名を使いましたが、異聞と題したので、以降史実の名を用います。

    コメント5件

    yoshi.s

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    *つづき グラバーはこれまでにも、長州藩が伊藤博文、井上馨などの若者をイギリスに密航留学させる手引きをしていた。 グラバーは日本に革命が起こるのを待ち望んでいた。そのためには日本の俊英たちにヨーロッパを見させ、社会改革の志しを植え付けるのが近道だ。 かつてヨーロッパもそうであったように、国家に王様が居座っていたのでは市民が自由に活動することができない。したがって自由な商売活動もできない。社会体制が市民主体のものになれば自由な取り引きが可能になり、商売は飛躍的に発展する。さらに言えば、旧体制を倒そうとする革命戦争が起これば、武器貿易で大もうけもできる。アメリカの南北戦争も終わって大量に売れ残った銃もまた売れるだろう。 グラバーは、自分と同じぐらいの年齢の日本青年たちに革命蜂起の期待を抱き、そのお膳立てをしていたのだ。 グラバーのこのような活動の動機は、しかしただ自分の商売のためだけでなく、世界で起こっている新しい時代のうねりに身を投じてみたいという夢、つまり市民の自由な時代への橋渡しをしたいという、使命感にも似た夢でもあった。 逸早く封建社会から市民社会に移行し得たヨーロッパ育ちのグラバーは、市民による自由経済社会こそが最も進歩した体制だとの信念を抱いていた。折しも大変革を迎えつつある日本で、その手伝いができることに喜びを感じていたのだ。 *次につづく

    2017年06月25日19時36分

    michy

    michy

    白い百合は純真で何事も吸収しようとする気持のあらわれですね。 封建制度から自由な制度への足がかりがこのようにして成し遂げられようとしていたのかと 改めて歴史を教えていただいた気持です。俊英な日本の若者達に力を貸してくれた外国の 方々の力も大きさも知りました。これからの自由へ歩みを楽しみにしています。

    2017年06月25日22時22分

    yoshi.s

    yoshi.s

    michyさん 新しい国家を作るために、20代の若者たちが命を捨てて奔走したのはつい150年前のことです。 龍馬だけではなく、多くの若者が新しい時代の捨て石になりました。 紆余曲折を経て、今日、日本は何とか彼らが夢見たような国になったと思います。 しかし敗戦によってそうなったというのは皮肉なことです。日本人は、この平和と自由と民主主義を自らの力で得たのではないということを了解しておかねばなりません。 またこれまでに、幕末の若者たちをはるかに超える若い命が犠牲になったことを忘れてはいけない。語り継がなければならないと思います。

    2017年06月26日15時04分

    旅鈴

    旅鈴

    日本の平和と自由と民主主義、を自らの力で得たのではないという言葉は重いですね。 高校時代、「きけ、わだつみのこえ」を読みました。学徒出陣で、多くの才能ある若者たちが 命を落とした事実、彼らは戦争の実態に気づきながら、しかし抗うことができなかった。 自分がはむかえば、家族や親戚がどういう目にあうか、村八分の風習(悪しき)を よくしっていたからでしょう。生きていればきっと国の発展に貢献したであろう、優秀な人材が海の藻屑と消えたのは、残念です。しかし、本当に残念なのは、戦争で亡くなったすべての犠牲者の方々です。大事な命がある日突然、戦争のために絶たれたのですから。

    2017年06月27日05時34分

    yoshi.s

    yoshi.s

    旅鈴さん 日本人は、平和と自由と民主主義を自らの力で得たのではなかった。それは残念なことでした。しかし一旦それらを得てからは、以降70年間守り続けて来ました。日本人は平和、自由、民主主義を好み、大切にして来たのです。それは評価すべきことです。 第二次世界大戦が終わるまでは、世界各国の価値観は、国力増大、国土拡張でした。戦争をしてでもその価値を追求しました。いや、戦争のために国家があったと言っても過言ではないでしょう。 しかし2つの世界大戦を経験し、しかも核兵器を手にしてからの人類の最も大切な価値は平和です。戦争をしない、ということです。人類はやっとそこまで来ました。そのためには何をしなければならないか。 互いを思いやることです。人間は一つであるという考えを持つことです。 それには人間同士の交流が必要です。家族の交流から国際的な交流まで、とにかく話し合い、行動を共にし、私心なく相手を理解することです。教育の重要性がそこにあります。 龍馬は、自覚していたかは別として、そのようなセンスを持った人間だったと考えています。

    2017年06月27日12時44分

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