霧の中の大台ケ原は、まるで雲に向かって歩いてゆくような、白に包まれた不思議な世界でした。惜しむらくは、この夢心地の遊歩道を、野生の鹿の群れが横切ったとき、たすき掛けにしたカメラを構え遅れたこと。誰もいない大台ケ原で、熊の恐怖を先に感じていたのでした。

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