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急な崖をカヤックとテント類一式をかつぎ降りて行くと、そこは風から守られた静かな波の打ち寄せる、小さな浜だった。ここを野営地とした。 対岸に見えるのは油壺。 後で調べてみると、そこは三浦一族の最後の城があり、ちょうどぴったり5百年前、北条早雲勢により滅亡した年だった。油壺の名の由来は、自死し海に身を投げた三浦一族の血が、油の様に海に漂った光景からきている。 この周辺の景色の一部を、以前に夢で見ていたことに、後になって気付いた。 何か縁の様なものを、無性に感じていた。