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*続き 夕日が海に触れ、海面に光の道を作った。眼下の岩はシルエットになった。海鳥が数羽岩を飛び立ち、赤い夕日の中を横切って行った。 二人は窓を見ては、またお互いを見ていた。 間もなく二人の前に料理が運ばれて来た。ウェイターが料理の説明を始めたが、互いを見つめたままの二人の耳にはほとんど届かない。その様子を理解した彼は、説明を早々に切り上げて立ち去った。続いてソムリエが赤ワインを持って現れ、栓を抜いてその説明を始めたが、それもまた二人の耳には届かなかった。ソムリエもまた諦めて退散した。 *下に続く
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*つづき 二人は少し話しをしては、飲み、食べ、分け合った。 そうしてはときどき窓の海に目をやった。 夕陽はいつの間にか水平線に半分ほど沈み、海面全体を染めた。 その美しさに二人は顔を見合わせ、どちらからともなく手を取って席を立ち、窓際に立った。 *つづく
2021年05月20日12時18分